空が薄暗い。灰色の景色を見下ろして、自分が立っているのがビルの屋上だと気付いた。柵も何もない屋上の縁から下を覗くと、ごうという風が頬をくすぐった。高い。
ありふれた景色だが、未明のように静かだった。違う。静かすぎるのだ。喧騒が聞こえない。車や、電車の音も。よく見ると、ものが一切動いていない。人も見えない。まるで廃墟みたいだ。
ああ。
ああ、と零れた呟きを、いつの間にか降り出していた雪が吸い取った。しんしんと雪が降る。吐き出した息が白く染まり、寒いな、と思ったが、動きたいとは思わなかった。雪がさらに大きく、白く変わる。ぼたん雪だ。しんしんと、雪が降りつむ。
美しい。そう思ったのが最後だった。

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