_ 濡羽か漆黒のような

職場の私の席の後ろにとある人がいる。とある人、というかおっさんがいる。控えめにいって、おっさんがいる。見た目はさもあらん、そして絶対につばが約五分間隔でまわりに飛び散っているし、独り言が多い。偉い人なのでつっこみが入ってるのをみたことがないが、本人は”マジで?” ”やばくね?”も余裕なおっさんだ。
だが。
だが、このおっさん、とても格好良いのである。仕事ができるのはもちろんだが、言動(例の若者言葉には多少は目をつぶる)、振る舞いが素敵で、とりわけ服装がお洒落。中肉中背~細身の間ぐらいで、そこらへんの兄ちゃんは太刀打ちできない。職種の問題なのか、それとも持って生まれたものなのか。ああいう人と話をしてみたいと思う。マスクをつけているときにでも。

昔専門学校に通っていた時、将来の自分の色を選んだことがある。私は濡羽か漆黒を選んだと思う。深みがあって、上品で、艶もあって美しい。そんな色だ。今もその思いは変わっていない。けど、もっと明るくて、初夏の空のような、軽やかで、透明で、明るい色もいいなと最近思う。

 

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